NHKで放映したのはことごとく逃してしまったので歯がみしていたらSKY-Aで上映。近鉄から市販されていたビデオをそのまま放映だとか。
…なんじゃこの画質は。あっちゃこっちゃで真っ黒になってるぞ。特に暗がりに出現する影夢（演・桜花昇）の出番が散々犠牲になっております。声はすれど姿は見えず。ついでに音響もホームビデオ級。こんなビデオよく作成・市販する気になったな、近鉄。こんな事だから（場違いなので以下自主規制）
さて、気を取り直して。
「闇の貴公子」「新・闇の貴公子」を観た後だとちょっとばかし辛い。視点を変えれば「魔剣士」→「闇の貴公子」→「新・闇の貴公子」と観ればOSK・北林タッグコンビの進化がはっきりと見えて面白いといえる。
身も蓋も取っぱらって単刀直入に言ってしまうと脚本も演出も発展途上ってことなんすけれどね。
立ち回りも生で見れば気にならないだろうがビデオでみると段取りで動いているのが良く分かる。リアルに動きを付けたのが災いしたか、それとも私が新感線見慣れているせいか。ついでにわざわざ段取りで動いているのをわざと見せ付けるようなアングルで撮影しているとしか思えない。本当にこれはプロが撮影したのか。
とりあえず本編感想へ。
見始めて数分後、最初のつっこみ感想。
西行、お前は死人を切り張りして不死人作ったらそのまま作りっぱなしにしたんかい？最後まで面
倒見ようや。料理は片付けまでが料理です。フランケンシュタイン博士より性質悪いぞ西行。つか諸悪の根元さりげにおまえか。
その先は不死人が普通の娘と結婚して子供産んだらかっさらわれてその赤子は攫われた先で二十年ほど寝てて（でも成長するらしい）、攫った人達の救世主になるべく人物で、でも知った義理かと（いやホンマに）家出して、と背景説明一挙にするがつなぎが悪いのかカメラワークが悪いのか冗長。画像の悪さは言うまでも無し。
主役の桔梗（演・煌みちる）、いっつも眠そう。ついでにもてもて。彼を隙あらば殺そうと後をつけているかげろうお銀ファッションくの一、左門（演・千爽貴世）も気付いたら母性本能かき立てられて微妙な気分。千爽さん、美形だけれど微妙に男役顔なので赤いリボンとお銀ファッションは女装した線の細い男にみえる微妙に似合いません。
追跡中に
「この山道を十五日間も飲まず食わず眠らず進むなどやはり化け物。」と桔梗の後をぴったりと付けているはずの左門（くの一だけれど一応、人間）が言ったり、桔梗のお目付役の八鬼（演・洋あおい、役柄的には忍びだが一応、人間）も同行程を同速度でこなしている等の問題点もありますが気にしないでおきましょう。この世界の人間にもヌメノールの血（指輪物語参照）を継ぐ者がいるようです。八鬼、左門になんか友好的です。あんた彼女は敵だって理解してる？
で、悪役はだれかと言いますと、京のマッドサイエンティスト入った公家さん・三位
（演・有希晃）さんを抱き込み（ついでに三位殿の妹、薫子（演・美森あいか）を人質に）、蜘蛛の化身魔界のプリンスアシュラマン紫水（演・若木志帆）をはべらす白髪の魔人、朱物（那月峻）。人でないものを呪いで人形にしてはべらす朱物がこの数年後に陰気な陽性進化を遂げ、「新・闇の貴公子」では友達いないんだったら呪をかけて創っちゃえーな前向きに根暗陰陽師、安倍晴明（演・那月峻）になるかと思うと感無量
。…友達おらんかったんか、朱物。朱物と愉快な仲間達をやられても困りますが。
愉快な三人組が旅を続けると、薫子ちゃんが人間の腕の運び屋をさせられているところに遭遇。お嬢様なのに生々しいことやらされている彼女、思わず泣き崩れてしまいます。八鬼が陽気にからんでいると朱物の部下その一、主水（演・瑞木彩
乃）。ごちゃごちゃありますが、桔梗は朱物の元へ。
朱物は同盟を持ちかけますがそれと同時に薬盛ってしまったりします。気持ちよく爆睡する桔梗、夢の中で過去をかいま見、ついでに左門と薫子ちゃんとデュエットダンスしちゃったりします。…いつ薫子が貴様に惚れたと言った？不死人だけにいい根性してます。こうでなければ長い年月過ごせません。（ほとんど寝ているが）
夢の国でデート中の桔梗の周囲では桔梗を殺すの左門やはり裏切ったかとかで大騒ぎ。八鬼も殴り込んでくるわ、妙にヒーローヒーローした忍びの影夢が張り切ってマント翻して桔梗の加勢にくるわで騒々しさ倍。流石の桔梗も眼が覚めたようです。「良い目覚めだ」そりゃあんだけ良い夢観てたら目覚めもよいでしょうよ。そして三位
殿の願いで薫子ちゃん連れて大脱出。いや、それとも朱物が撤退したのかようわからん。
影夢にくっついて行った先には羽柴秀吉。こっちも同盟組みたがりますがこれも却下。そっちがそうならと秀吉は手持ちの情報使って桔梗を煽ります。煽られたと解っていても桔梗は親と再会するためにあえて乗ってやります。
行った先には老婆の姿。桔梗は母の最期にかろうじて立ち会うことができたのでした。そんな桔梗を後ろからばっさりやろうとした主水、しかし薫子ちゃんがかばって身代わりに切られてしまいます。失敗したとみてさっさと退散、主水殿。諦めが良いと言いましょうか。チャンスかもしれんのに腰抜けめ。ついでに朱物よ、あんたは桔梗が欲しいのか消したいのかはっきりしていおくれ。事切れる薫子ちゃんを見て「あんたには負けたよ」by左門。いつ三角関係成立してた？
色々と腹立つこともありますが、桔梗パパが朱物に捕獲されていると解り、桔梗は今度はパパに会いに出発進行。
パパに会いに行く=朱物のところへカチ込み。紫水となにやら盛り上がっている朱物の元に桔梗一行殴り込みの報がもたらされます。ここにようやっと思い出したように桔梗を救世主と崇める一族が援軍に到着、大乱闘。
何かがプチ切れた三位殿が大量生産したわけわからん生命体相手に元々ヤンキーだった八鬼のさらなるヤンキー化進む。刀より鉄パイプや金属バットや釘打ち付けた角材が似合いそうな言葉遣いで荒れ狂う。三位
殿は主水にさっくり消されてしまいます。左門と八鬼にも死相が浮かんだ気がします。わけわからん生命体は桔梗がさっくり成仏させる。自分がやったわけではないのに嬉しそうな八鬼。やっぱりこいつは脊髄反射で人生歩いているんじゃなかろうか。
桔梗はやっと再会した父も安らかな眠りにつかせてあげます。そして主水率いる一隊を殲滅する際に左門も討ち死に。八鬼はまだ元気。
一方朱物はこの世に対する恨み辛みを吐き出し、紫水を犠牲に火炎地獄の効果発動紫水ちゃんを犠牲に大技発動。
別れの紫水、愛しい殿に「身体は亡びても心は共に！お別れで御座います！！」え〜、微妙に文脈が前後で矛盾しているような気がいたしますが気にしなーい。しかしそこは不死身の桔梗、紫水の捨て身も効かず朱物は逆ギレ「者共、出会え」と悪役教本に忠実にな台詞。薙刀ブン回す朱物さんを追いつめた桔梗、
「稲妻切り、受けてみるか。」
え、必殺技なんて聞いて…流石ヒーロー、必殺技持ちです。
ついにラスボス、朱物をやっつけてめでたしめでたし。ん？漁夫の利を狙っていた猿はどうした？気にしなーい、気にしない。主人公達が渋く決めてなんだか話も終わっているようなのでそれでオッケー。あ、八鬼は今でも元気です。長生きする気満々です。これは桔梗に惚れるならば男に生まれよということでしょうか。惚れてくれた女に対しては疫病神か、桔梗よ。
なんか脚本にプチゆでイズム入ってるのは気のせい？いや〜、本当に北林先生がゆでイズム炸裂作家になってしまわれなくって本当によかった。（ゆでイズム、意味解らない人がいたら私のWPB感想もしくはキン肉マンファンサイトの感想系を適当に読んでもらえればすぐ理解できるかと。解らないままの方が幸福な気もする。）こうなったらいっその事、この脚本をゆでたまご作画で見てみたいかも。桔梗はアシュラ系、八鬼はテリー系、朱物はチェックメイト系か。
完全茶化し系感想文になったが愛が無いわけじゃないっす。むしろ愛が溢れているからこその茶化し系。フェニックスは素面 で観てられるかモード入っていたけれど、こっちは真面目に見ているからこそ合いの手入れたくなるモード。香港映画観ているとよく起こる現象です。つまり何かが穴だらけでも他の部分がカバーしているってことですね。…うわ〜、言い訳がましいったりゃありゃしない。
最後のショーも観ているとほんの数年であそこまでOSKは垢抜けていったのかと驚く。ここしばらく、以前OSKのダンスには「覇気があっても色気が無い」ようにみえたのは私の目がまだ舞台に慣れていなかったからかと思っていたのだがこれを観て以前の自分の目は間違いではないのが判明。動きが体育会系で「押忍！！」オーラがびしばし出てます。香港映画でよく出てくる集団表演のような。ほんとうにここ数年、OSKはすごい進化をとげてきたんだなと感動。近鉄はなんでこれを金の儲かる集団にしようと思わなかったのか。
七十二期生口上、真ん中に木乃香ちゃん発見。ささやかに幸せ。初舞台の皆さん、初々しくて可愛い…。