観劇日 2002年8月31日 12:00開演
とりあえず、OSKの若手さん達十三名による「夏の夜の夢」現代版、妹の結婚式前日だというのに（いや、結婚式のおかげで関西に行く理由ができたんだけれども）、チケット譲ってもらって新幹線のぞみ使って実家より一駅遠くで降りてわざわざ観に行きました。結婚式がなくても桐生麻耶さんがご出演ということで夜行バスで観に行こうかと算段してたっちゃーしてたんですが。
脚本家は「長ぐつをはいたねこ」と同じ吉峯先生。チケットもらって座席について一寸あたりを見回してみたら先生が壁際に立ってらっしゃって一瞬びびりました。ついでに近くの席には男役っぽい方が…。あれは一体誰だったんでしょうか？気にかかる。
上演時間は約九十分、休憩なし。だれたら辛いな、と思いましたがだれることなく終わりました。と言っても出来がばりばりに素晴らしいわけではないのですが。印象は「長ぐつをはいたねこ」と同じ感じ「毒にも薬にもならんがおやつにはなる」でした。
筋は夢にあふれる若者達が近い将来おとずれる試練を乗り越えるのを手伝うため、天然ぼけ妖精のパック（演：桜花昇）がタイタニア（演：華野もか）によって人間界に送られる。パックがやってくるのは弱小映画プロダクション「サバイバル・スタジオ」。そこでは多少いがみ合いや問題を抱えながらみんなで映画の撮影中なんのだが、ついに大型スタジオによる吸収が決定してしまう。（OSKの現状と重なって笑えない…）そこで「サバイバル・スタジオ作品」と銘打つ最後の作品で賞取りを狙うため、ぎりぎりの脚本変更＆主役変更をプロデューサーは決定、それにマーク（プロデューサ／演：波輝一夢）→アン（脚本家／演：森野木乃香）→ピーター（監督／演：高世麻央）→リリー（主演女優／演：美森あいか）→マークのの不毛な恋愛堂々巡りがからんで、さらにそれにパックが首をつっこんで、背景では他のスタジオメンバーが賞取りに向かってどたばたで…。という終わった後のこれでいいのか？感も含めて元ネタと同じような、他愛のない喜劇。
で、なんで「毒にも薬にもならんがおやつにはなる」かと言いますと、話の筋に直接関係ある場面で突出して印象に残るものがない。部分的には惚れ薬でアンに惚れたマークとピーターが、日本の客席通路をそれぞれ通りながら相手を罵倒しつつ舞台に上がる場面とか、本筋には関係ない映画祭のパフォーマンス用のダンスレッスン→パックの悪のりでなぜか白鳥の湖ごっことか好きなんですけれど、全体的にはいまいち盛大な盛り上がりに欠けるのです。
伏線っぽい設定
その一：パックが人間界にいるタイムリミット。これを過ぎるとパックは妖精以外の姿に変えらえてしまう。
その二：パックがリリーに惚れてしまう。でも彼女が好きなのはマーク。
がほとんど使われていないし。最後にタイムリミットが来て映画の完成を待たずに妖精界に戻ろうとするパックにタイタニア様が「最後まで見届けないで良いのですか？」と言うのですが、女王様、パックはさっき好きな人が幸福になるようにと自分の思いを胸の底に封じてリリーとピーターをくっつけたばっかりです。なのに（おそらく）蜜月状態であろうこの二人のそばに戻れってちょっと酷じゃありません？結局タイムリミットやぶって戻ったパックにはなにも起こらないし、パックも何もなかったようにサバイバル・スタジオに戻ってるし…。この二つのネタ、連動させればもっと盛り上がったと思うんですけれど。例えればタイムリミット覚悟で人間界に残ったパックは妖精としては姿を失い人間のパック・グッドフェローとして戻ってくるとか、リリー・マーク夫妻の子供として生まれてくるとか…。あ、でも子供として生まれてくると最後の映画祭でのパフォーマンスに加われないか。
このパフォーマンスなんですが言っちゃいけないつっこみを一個。なんで一番下っ端の社員であるパックが真ん中なんでしょうか？いや、スター制取っているこのお芝居では些細なことなんでしょうが…。そういえばサバイバル・スタジオの皆さん、マークが「そーいや今日から新入社員がくるんだった…。」と言ったら「吸収決まっているのにいまさら…」っぽい感じではありましたが、あっさりさっくり受け入れてましたなぁ。一番下っ端なのに妙に人望あったし。
ちなみにアンはどっからピーターを追っかける様がどっからどうみても立派なストーカー予備軍…。（汗）追っかけられるマークは名うてのナンパ師…。マークもどうみたってワンマンで自分の趣味の映画つくってたようだし…。サバイバル・スタジオって、サバイバル・スタジオって…。よく今までやってこられたな…。
桐生さんは話の筋には直接関わっていないのですが、サバイバル・スタジオ所属の俳優。恰好つけで図体デカイくせに肝が小さくて不器用でさみしんぼ。完璧なるお笑い担当です。重大発表（大手スタジオによる吸収）のため、みんなが集まった場面 でもプロデューサーが発表を始めようとするたびに緊張に耐えられず大声を上げて邪魔しまくり、終いには気の強いマギー（女優／演：毬紗みのり）に大声あげる瞬間に口塞がれてそのままニーキックを数発どてっ腹に喰らわされていたり、ダンスの練習では一人なかなか踊れなくって周囲をなぎ倒しまくったり。ダンスの練習中に悪のりしてみんなを操って白鳥の湖ごっこを始めたパックにロバの頭くっつけたまま白鳥の群舞やらされて、魔法が解けてみんなが正気に返った後もロバ頭を付けたまんまにされたり。ロバ人間を観てパニックになって逃げていく仲間をわけわからず泣き入りながら追っかけてったり。目立ちまくりです。これファンの欲目かもしれませんが、桐生さんはお芝居の人らしくそこここ他のキャストさんがわざとらしさが出てしまっている所で自然にお芝居してたりしていたような気がします。
マギーも最初は気の強い意地悪キャラになるのかと思ったら、後輩のリリーに主役が回っても「私はプロの女優よ。」と映画の完成に全力を注ぐことを真っ先に言って好感度は上がるけれど、ちょいと肩すかし。でもこの後、気は強くて口も悪いわ手も早いが実はいい人街道をつっぱしってくれたので有る意味嬉しいのです。ダンスの練習からいきなりいなくなったジョーをなんかすごく気にかけていたり、個人的にはどてっ腹にニーキックシーンからマギー×ジョーだったのでちょっと期待していたんですが、結局その後進展がなかったのが寂しい。ところでおねーさん、昔そうとうやんちゃしてませんでした？あの口塞ぎニーキック、恐ろしく手慣れてたんですが。ところで序盤、お芝居の最中に映画の衣裳が他の人と絡んじゃったのは彼女だったっけな？お揃いのすだれ（？）裾スカートが絡んじゃってとれなくなったんですわ。
最後に一言。序盤の劇中劇のショウガールズは眼福でした…。